第23章 【第二十二話】もう戻れない夜
小さく頷く。
そっと、唇が重なった。
静かな口付けだった。
……優しくて。熱くて。
触れたところから、甘く痺れていく。
頬を包む手に、僅かに力がこもる。ほんの数秒が、ひどく長かった。
ほんの数センチだけ、唇が離れる。
「……もっかい」
その響きがあまりにも甘くて、胸が熱く震える。
背伸びをした。
再び、唇が重なる。
今度は、すぐには離れない。確かめるように、ゆっくりと触れてくる。
ぼうっと霞んでいく頭の隅で、ここが祭壇の前だと、ふと思い出した。
……悪いことを、しているみたい。
「……っ」
小さく息が漏れた途端、頬にあった手が背中へ回って、引き寄せられた。
どれくらい、そうしていたのか分からない。
唇が離れた。
ラビは額を寄せたまま、苦しそうに息を吐いた。
「……これ、夢じゃねぇよな」
笑いそうになったのに、喉の奥が詰まって上手く笑えなかった。
「……夢だったら、困るわ」
「困る、か」
ラビが、ふっと笑う。その指先が、私の銀髪を梳いた。