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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第23章 【第二十二話】もう戻れない夜




「……ティファ」


名前を呼ばれる。

たったそれだけで、言いに来た言葉が全部喉で止まりそうになる。


ラビの手が、ゆっくりとこちらに伸びてくる。
頬に触れた指先が、ひどく熱い。


「ちゃんと話す、って言ったよな」

頷く代わりに、彼のTシャツの裾を、指先で摘んだ。布越しに、ラビの体が強張るのが分かった。


もう、言いかけたままにはしない。


私は、彼を見上げた。


「……私」

声が、震えた。

「ラビといると、苦しくなるの」


胸元に手を当てる。


「離れた瞬間、探してしまうし……触れられると、もっと欲しくなる」


頬に触れていたラビの指先が、ほんの僅かに強張った。


「こんなの、初めてで……怖かった」



がらんとしたチャペルに、自分の声だけが落ちていく。


「好きになったら、失うのも怖くなるって……分かったから」



私はぎゅっと彼のTシャツを握り締めた。



「でも……。ラビの、そばにいたい……」



一度だけ息を吸って、彼の目を見る。




「ラビが、好き」



音が、消えた。


彼は、翠の瞳を大きく見開いたまま、息を忘れたみたいに私を見ている。



それから、長い息が零れた。



「……やっとかよ」

笑おうとした顔が、くしゃりと崩れた。


ラビの額が、こつりと私の額に触れた。乱れた呼吸が、すぐそこで聞こえる。


「……オレも好きさ」


額を合わせたまま、ラビが目を閉じた。


「ずっと……どうしようもねぇくらい、お前が欲しかった」


視界が、じわりと滲んだ。


頬に添えられたままの手のひらが、微かに震えている。

その手に、少しだけ顔を預けた。



「ティファ」

名前を呼ぶ声が、ひどく優しい。


「……キス、していい?」



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