第23章 【第二十二話】もう戻れない夜
翌日は、一日がやけに長かった。
本を開いても、文字が頭に入ってこない。窓の外を見て、時計を見て、また溜め息を吐く。
――そりゃ、行かねぇわけねぇな。
書庫で聞いた声が、ふとした拍子に蘇る。
食堂ですれ違ったアレンは、「おはようございます」と、いつもより少しだけ明るい声で笑ってくれた。
私も、何も言わずに笑い返して。
アレンの背中が見えなくなってから、そっと唇を噛んだ。
昼を過ぎても、ラビは一度も姿を見せなかった。まだ、書庫にいるのだろうか。
日が傾く頃には、部屋の中を何度も行ったり来たりしていた。
結局、ベッドに倒れ込んで、枕に顔を埋める。
「……もう、駄目」
呟きが、部屋に溶けていく。
……早く会いたい。
でも、まだ心の準備が出来ていない。
こんなに夜が待ち遠しいなんて、知らなかった。