第23章 【第二十二話】もう戻れない夜
「……それ」
ラビの喉が、小さく動いた。
「期待していいやつ?」
目は、逸らさなかった。
「……明日、ちゃんと話すから」
ラビの口元が、ほんの一瞬だけ強張った。
「……そりゃ、行かねぇわけねぇな」
その声に、また心臓が跳ねた。
……これ以上ここにいたら、明日まで待てずに、全部言ってしまいそうだった。
「……それだけ。お仕事、頑張って」
「おう。……明日まで、死ぬ気で頭に叩き込むさ」
踵を返した背中を、ラビの声が追いかけてくる。
「ティファ」
振り返ると、ラビは椅子に座ったまま、少しだけ照れたように笑っていた。
「……来てくれて、あんがとな」
返事の代わりに、頷いた。
扉を閉める直前まで、頁を捲る音は、一度も聞こえなかった。