第22章 【第二十一話】雪明かりの答え
アレンの指先は、一房の髪を絡めたまま、離れていかなかった。
「完治するまで、僕が乾かしちゃ……駄目ですか?」
思わず、鏡の中のアレンを見上げた。
「この時間、僕、けっこう好きなんです。二人だけで話せるの、この時間くらいなので」
鏡越しの視線から、逃げるように目を伏せた。
……それ以上、聞いてはいけない気がした。
頭の上で、アレンが小さく笑う気配がした。
「…………すみません。ずるかったですね」
指先に絡んだ一房に、僅かに力が入る。
「……ティファ……気付いてますよね?」
「え……?」
弾かれたように、鏡を見る。
「僕が、書庫で……何を言おうとしてたのか」
「……っ」
アレンが、ドライヤーを鏡台に置いた。
「かえって、困らせちゃいましたね……。何度も、言おうと思ってたんですけど……なかなか踏み出せなくて」
「アレン……」
「今度は……最後まで、言わせてください」
鏡の中のアレンは、目を逸らさなかった。
「好きです」
絡められていた一房が、アレンの指の間から、するりと零れた。
「ずっと前から。……ティファが思ってるよりも、ずっと」
…………。
喉が苦しくなる。
髪を離れたアレンの指先が、かすかに震えているのが、鏡越しに見えた。