第22章 【第二十一話】雪明かりの答え
それから、三日が過ぎた。
ラビとは、ほとんど話せていない。ブックマンに記録の仕事を言い付けられているらしい。
昼下がり、私はクロウリーを連れて、中庭の花壇を案内していた。城ではずっと庭いじりをしていたと聞いて、見せてあげたくなったのだ。
雪の積もった花壇の隅で、白い小さな花が、俯くように咲いている。
「おお……この寒さの中で咲くとは、健気な花である……!」
しゃがみ込んだクロウリーが、花びらに触れないように、そっと顔を寄せた。
「スノードロップよ。冬の終わりに咲くの」
「すのー、どろっぷ……」
嬉しそうに繰り返してから、クロウリーはぽつりと呟いた。
「吾輩も、ここで何か育ててみたいのである」
「コムイさんに頼めば、花壇の一角くらい借りられると思うわ」
「本当であるか……!」
目を輝かせるクロウリーに、思わず笑みがこぼれる。
「何を植えるのがよいであろうか……薔薇か、それとも……いや、まずは土作りからであるな!」
指を折りながら楽しそうに考え込むクロウリーの声を聞きながら、何気なく視線を上げた。
上の階の窓に、ラビがいた。
窓枠に頬杖をついたまま、こちらを見下ろしている。
え……いつ、から……?
目が合うと、ラビはふっと笑って、そのまま窓の奥に消えていった。
「ティファ? 顔が赤いである。寒いのであるか?」
「な、何でもないわ……!」
そのあとも、土作りの話を続けるクロウリーに相槌を打ちながら、つい何度も窓を見上げてしまった。
三日ぶりの笑顔が、まだ瞼の裏に残っていた。