第22章 【第二十一話】雪明かりの答え
……。
オレには、捨てるなんて出来ねぇ……。
握り締めてた手を、ゆっくり開く。
「……じじい。オレ、ブックマン辞める気ねぇよ」
壁に背中を預けたまま、オレは小さく笑った。
「歴史を記録すんのは、オレが自分で選んだ道さ。逃げる気はねぇ」
……喉が、熱い。
「でも……もう手放せねぇんだよ」
自分の手に、目をやった。
「……隣にいたら、欲が出ちまった」
笑ってんのか、しんどいのか、よく分かんねぇ。
顔を上げると、じじいと目が合った。
「だからオレは、両方背負う」
回廊に、短い沈黙が落ちる。
「そんでオレが壊れちまうなら……まぁ、そん時はそん時さ」
じじいの顔は、ぴくりとも動かねぇ。
「ま、その前にフラれるかもしんねぇけどな」
口の端だけ、どうにか持ち上げた。
じじいが、小さく息を吐いた。
「……甘いな。両方背負えるほど、人間は器用には出来とらん」
……んなこと、身をもって知ってるさ。
「守りたいものが出来れば、必ず判断は鈍る」
……。
「まして、相手があの娘なら尚更のこと」
背筋が、ひやりとした。
「ティファに……何かあんのか」
じじいの視線が、窓の外へ逸れた。