第22章 【第二十一話】雪明かりの答え
Side:ラビ
人気のない回廊に出ると、窓の外では雪が降り続いていた。
先を歩いていたじじいが、足を止める。
「……お前、自覚あるのか」
オレは壁に寄っかかって、頭の後ろで手を組んだ。
「何の話さ」
「あの娘に向ける顔が、以前とは違う」
間髪入れずに返されて、貼り付けた笑みがあっさり剥がれる。
組んでた手が、自然とほどけた。
……ったく。よく見てやがる。
誤魔化すだけ、無駄か。
「……分かってる」
思ったより、情けねぇ声が出た。
「分かってっけど――」
「――切り捨てろ」
……っ、最後まで、言わせてもくんねぇのかよ。
「情は記録を曇らせる。執着は判断を狂わせる」
奥歯を、噛み締めた。
「失いたくないと思った時点で、お前はもう“中立”ではおれん。ラビ……今ならまだ戻れる」
戻る。
ティファを記録として見てた頃に。
笑った顔も、拗ねた顔も、勝手に浮かんできた。
私は――。私、は……。
最後に残ったのは、必死にオレに伝えようとしてくれた顔。
……ああ、やっぱ無理だ。
「記録者として生きるか、あの娘を選ぶか、決めろ」