第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い
静かな廊下を、ラビはゆっくり歩いていた。石造りの窓から、冷たい夜気が入り込んでくる。
「……さむい」
小さく身を縮めると、ラビが足を止めた。
少し黙ってから、私を窓辺の段にそっと座らせる。首に巻いていたマフラーを解いて、肩ごと包むように掛けてくれた。
ふわり、とラビの匂いがした。
落ち着く。
無意識に、その布に頬を寄せる。ラビの喉が、小さく上下した。
「……勘弁してくれ」
困ったような声だった。なのに、ずれかけたマフラーを、ラビの指がもう一度首元まで引き上げてくれた。
部屋に着くと、ラビは慎重に私をベッドに降ろした。背中に柔らかな感触が触れて、掛布団が掛けられる。
首元のマフラーから、まだラビの匂いがした。
そのまま、意識がゆっくりと沈んでいった。