• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い




「……え、何もないの?」

ラビが、がくりと肩を落とした。


「マジかよ。アレンにはあんだけ出てきたのに」

「ち、違うの、そうじゃなくて……ちょっと待って、捻り出すから……」


「捻り出さねぇと出てこねぇの、オレ……」

ラビが、テーブルに突っ伏した。


……ないわけじゃない。

ただ、ラビの顔を見たら、喉の手前で全部止まってしまった。



答える代わりに、グラスに口を付けた。一口、もう一口。


顔が熱いのが、酒のせいなのかそうじゃないのか、だんだん分からなくなっていく。



「ティファ、飲むペース早過ぎます」

眉を寄せるアレンに、ふわふわと笑う。

「だいじょぶよぉ」

「大丈夫じゃない人の台詞ですよ、それ」

真顔で返されて、食堂がまた笑いに包まれた。


「もぉ……アレン、最近お母さんみたい」

「誰がお母さんですか」

「でも、過保護だよなー」

茶化すラビに、アレンが少しむっとする。

「心配してるだけです」


その会話から逃げるみたいに、また酒を飲んだ。



……数分後。


「……あれ」

ぼんやりと瞬きをする。少し、視界がふわふわしていた。


それに気付いたラビが、すぐに私の手からグラスを取り上げる。

「ん、没収」

「えぇ……まだ平気ぃ……」

「その喋り方になった時点で危険信号だろ」


「らび、うるさぁい……」

頬を膨らませると、ラビの視線が私の顔で止まった。


「なぁに?」

少し黙ってから、ラビは片手で口元を覆って、顔を逸らした。


「……わりぃ、ちょっと今のは効いた」

静まり返った中で、「うわぁぁぁ……」と科学班の誰かが耐え切れずに声を漏らす。


数秒遅れて、顔から火が出そうになった。

「ラ、ラビ……っ!!」

「いや、今のはお前が悪ぃ」

/ 382ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp