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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い



「逃げるみてぇに飲むなよ」

「逃げてないわよ……」

「いーや、逃げてるさ」


目を逸らしながら、またグラスに口を付ける。


「ティファ、本当に強いなぁ……」

科学班の何人かはもう頬を真っ赤にして潰れかけているのに、私はまだ普通に座っていた。


「前はもっと強かったのよ」

少しぼんやりした声が出た。

「師匠が飲み代払えなくて、店主さんに追い掛け回された時とか、酔ったまま逃げてたし」


「何さその地獄みたいな生活」

吹き出すラビに、肩を竦める。


笑い声の中で、アレンだけが深い溜息を吐いた。

「……師匠、本当にティファに余計なことばかり教えてますね」

「でも、生きるのに必要だったから」

けらけら笑っていると、ラビがじっとこちらを見ていることに気付いた。


「……なによ」

「いや。思ってたより逞しいよなーって」

ラビが、からかうように笑う。


「……でも、あの頃のティファ、酒場から戻ると、いつも黙ってましたよね」

アレンの言葉に、ぴたりと手が止まる。


「……歌うのは好きよ。借金のために歌うのは、ちょっと嫌だったけどね」

自分でも驚くくらい、素直な声が出た。


「でも、褒めてくれる人もいたし……アレンがいてくれたから、安心して歌えてたのよ」


アレンが、少しだけ目を見開いた。


「歌い終わると、いつも一番に拍手してくれた。アレンは優しいわよね……小さい頃からずっと」


ふいと目を逸らしたアレンの耳が、少しだけ赤い。

「……必死だっただけですよ」


頬杖をついたまま、ラビがわざとらしく口を尖らせた。

「なぁ、ティファ。オレには?」


「え?」

「オレにも何かあんだろ」

「ラビは……」


言いかけて、止まった。

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