第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い
「ティファ、強そう!」
「クロス元帥の弟子って感じだ!」
空になったグラスを机に置いて、小さく息を吐いた。渋みと一緒に、熱がじわりと胸へ落ちていく。
「ティファは結構お酒強いですよ」
さらりと言ったのは、アレンだった。思わず「え」とそちらを見ると、科学班がざわつく。
「えっ、そうなの!?」
「確かに、全然顔色変わってない!」
「師匠と旅してた頃、よく酒場にいましたから。ティファ、借金返済のために歌わされてましたし」
「歌わされてたって何さ」
ラビの声が、少しだけ硬くなる。
「師匠が酒場でギャンブルして、負けた分を私の歌で払ってたのよ」
「最低だな、クロス元帥!?」
科学班の総ツッコミに、肩を竦めて続ける。
「それに、歌い終わるとお客さんがお酒を奢ってくれてたの。断ると角が立つから、飲めないと困ったのよ」
何気なく言ったつもりだった。ラビがぴたりと黙る。
「……酒まで付き合ってたのかよ」
「仕事だもの。でも、師匠に仕込まれたから平気よ。潰れたふりして逃げるとか、何杯飲んでも顔に出さないとか」
「何教えてんだ、あの元帥……」