第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い
廊下には、夕暮れの名残を含んだ淡い光が長く差し込んでいた。
部屋の前まで来ると、ラビが足を止める。
「ちゃんと休めよ」
「……分かってるわ」
「あと、歓迎会、寝過ごすなよ。クロちゃん泣くさ」
「努力する」
小さく笑って返すと、ラビも笑った。その目が、ほんの一瞬だけ私の髪に落ちる。
思わず、身構えてしまった。
でも、ラビは軽く片手を上げただけだった。
「じゃ、後でな」
「……ええ。後で」
扉を閉めて、背中を預ける。
指先が、勝手に髪の先へ伸びていた。
「……もう」
今夜はクロウリーの歓迎会だ。あまり変な顔はできない。