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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い



「っ……ラビ!」

「んー?」

ラビの指は、まだ私の髪を離さなかった。


銀の一房をゆっくり掬い上げて、鼻先に寄せる。

「いい匂いする」


息が、止まる。


ただ髪に触れられているだけなのに、距離が近すぎた。

指先から、耳元から、身体中に熱が広がっていく。


「や、やめて……」

声は出たのに、身体は動かなかった。


「嫌?」

問い返す声が、ひどく甘い。


……嫌じゃない。

でも、そう認めてしまったら、もう誤魔化せなくなる気がした。


ラビは私の髪を指に絡めたまま、静かにこちらを見つめている。


「ティファ」

「……なに」

「顔、赤い」

「誰のせいよ」

思わず言い返すと、ラビは一瞬だけ目を見開いて、それからふっと笑った。

「……わりぃ。調子乗った」


ラビの指が、ようやく髪から離れた。触れられていた場所だけが、まだ熱い。


「別に……」

それだけ返すのが精一杯だった。ラビが、困ったように目を細める。

「そういう顔されると、ほんと調子狂うさ」



それ以上ラビを見られなくなって、逃げるように立ち上がる。

「……部屋に戻るわ。着替えたいし、少し休みたいの」

「送る」

「一人で戻れるから」

「却下」

ラビは何でもない顔で、もう扉に向かっている。


「怪我人を一人で歩かせたら、リナリーに蹴られるさ」

あ……。

さっきのかかと落としを思い出して、思わず苦笑いする。


ラビは扉に手を掛けたまま、ちらりとこちらを振り返った。

「……ってのは、建前な。ほら、行くぞ」


不意打ちの言葉に返事も出来ないまま、ラビの後を追って医務室を出た。

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