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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第21章 【第二十話】残り香は、まだ熱い



「寒いでしょう?」

「……へ?」

ぽかんと口を開ける男達に、アレンは笑顔で続けた。

「クロウリーの物は返してもらいましたし、僕達は別にあなた達の服が欲しいわけじゃないので」


「アレンお前、黒いんだか聖人なんだか、どっちなんさ……」

「冬ですし、風邪を引きますよ」

男達が慌てて服を引っ掴む。

「な、何なんだよ兄ちゃん……」
「怖ぇよ、逆に……」


その中で、瓶底眼鏡の男だけが、床に胡座をかいたまま、膝に頬杖をついてこちらを見ていた。

「優しいねぇ、兄ちゃん」

「そうですか?」

「普通、ここで全部奪うだろ」


アレンは少し考えてから、小さく首を傾げる。

「取られたら困るものくらい、誰にでもあるでしょう」


男は数秒アレンを見つめて、ふっと笑った。

「……そっか」

ゆっくり立ち上がると、服を羽織りながら、ひらひらと手を振る。

「じゃ、またな」

その視線が、ゆっくり私へ移る。

「お嬢さんも、また会おうぜ」

ぞくり、と嫌な寒気が背筋を這った。


ラビの顔から、笑みが消えた。翠の目が、静かに冷えていく。

「……次なんて、ねぇさ」

男は面白そうにラビを見返して、肩を竦めた。

「怖ぇなぁ」

そう笑って、車両を出ていく。


扉が閉まると、思わず小さく息が漏れた。


……なんだったの、今の。

妙な不安だけが、胸に残る。


「ティファ」

名前を呼ばれるのと同時に、手首を引かれた。傷に響かないように、そっとラビの側へ寄せられる。

「っ……ラビ?」

「……ああいう胡散臭ぇ男には近付くな」

耳元で囁く声は、真剣だった。


「……胡散臭いのは、ラビも同じじゃない?」

「オレのは愛嬌っつーの」

いつもの調子で言い返せたのに、掴まれていた手首が、しばらく熱かった。


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