第19章 【第十八話】偽物じゃなかった愛~クロウリー編③
赤い瞳から、涙がぼろぼろと零れ落ちていた。
「もう……生きる気力もないである……」
暴れる花を払い除けて、アレンがゆっくりとクロウリーに近付いた。
「落ち着いてください」
「落ち着けるものか……。とんだ化け物になったものだ、私は……愛していたものを、自分の手で壊してしまった……」
涙が、石床に落ちる。
「死にたい……」
アレンが、クロウリーの胸ぐらを掴んだ。
「だったら!! そんなに辛いなら、エクソシストになればいい!!」
クロウリーが、目を見開く。
「エクソシストはAKUMAを壊すんですよ!! あなたは、エリアーデというAKUMAを壊した!! これからもAKUMAを壊し続ければ、それがエリアーデを壊した理由になる!!」
声が、ひび割れていた。
「理由があれば生きられる……!! 理由のために生きればいいじゃないですか!!」
叫ぶアレンの横顔を、私は黙って見ていた。
マナを壊したあの日から、アレンがずっと自分に言い聞かせてきた言葉だった。
「貴方もまた……神の使徒なんだ……」
胸ぐらを掴んでいたアレンの手から、力が抜けた。
クロウリーは、何も言えずに項垂れていた。
――エリアーデはAKUMAだった。
人を殺して、ひとつの魂をずっと苦しめていた。それは変わらない。
なのに、動かないその背中を、黙って見てはいられなかった。
私は、歌い始めた。
心を鎮める力は、使わなかった。この悲しみまで鎮めてしまうのは、違う気がした。