第19章 【第十八話】偽物じゃなかった愛~クロウリー編③
Side:ティファ
囚われていた魂の悲鳴が、ふっと途切れた。
黒い鎖がほどけるように、その気配が遠ざかっていく。もう、どこにも縛られていない。ちゃんと、還っていける。
同時に、身体に巻き付いていた蔓が、急に力を失った。するりと床へ落ちて、解放された反動で膝をつく。
慌てて顔を上げると、崩れた部屋の向こうで、クロウリーが石床に膝をついていた。
消えかけていた身体は、いつの間にか元に戻っていた。なのに、その顔に生気はない。
視線の先には、もう誰もいなかった。
「……エリアーデ……」
返事はない。淡い光の欠片が、夜風に攫われて消えていくだけだった。
ぞろり、と。
周囲の花が一斉にざわめき始めた。咄嗟にレイピアを構える。クロウリーは虚ろな目のまま、ふらりと顔を上げた。
「……このアホ花」
隣で、ラビが「は?」という顔をする。
「クソ花……ウンコ花ァァァッ!!」
崩れた部屋に響き渡った絶叫に、ぶちん、と何かが切れたように花達が暴れ出した。
「うおぉぉっ!? クロちゃん何やってるんさ!!」
「刺激しないでください!!」
鉄槌を振り回すラビの横で、アレンが蔓を引き裂きながら叫ぶ。クロウリーは、泣きながら叫び返した。
「うるさいである!! 私はエリアーデを壊した!!」