第19章 【第十八話】偽物じゃなかった愛~クロウリー編③
足元の床が、ぼこりと盛り上がった。
「え――」
亀裂から飛び出した蔓が、足首に絡み付く。
「ティファ!!」
ラビの叫びより早く蔓は脚を這い上がり、腰や腕へ巻き付いていった。傷付いた肩ごと引っ張られて、身体が強引に吊り上げられる。
「っ、ぁ……!」
「くそっ!!」
駆け寄ろうとしたラビの足元からも、蔓が飛び出した。鉄槌ごと腕を絡め取られて、そのまま床へ引き倒される。
「ラビ!」
左腕を振り上げたアレンの背後にも、大量の蔓が襲い掛かった。引き裂くより先に胴と腕へ巻き付かれて、あっという間に動きを封じられる。
数分も経たないうちに、三人仲良く、蔓に吊るされていた。
食い込んだ蔓のせいで団服が乱れて、割れた裾から脚が覗く。裂けていた肩口も、さらに大きくはだけた。
ふと、視線を感じて顔を上げる。
ラビが、完全に固まっていた。翠の瞳が、思い切り見開かれている。
「ラビ!?」
一気に顔が熱くなった。ラビが慌てて顔を逸らす。耳まで真っ赤だった。
「いやっ、違っ……! その、蔓の位置が悪ぃっていうか……!」
「見ないで!!」
叫んだせいで身体が揺れて、余計に蔓が食い込む。
「っ、ぁ……!」
「だから暴れんなって!!」
「ぼ、僕は見てません!! 目、閉じてますから!!」
反対側から、アレンの上擦った声が飛んできた。ぎゅっと目を瞑ったまま、顔を真っ赤にしている。
「それ、見たって言ってるようなもんさ!!」
「ラビは今すぐ閉じてください!!」
「閉じたら食われるだろ!?」
羞恥で死にそうだった。