第18章 【第十七話】歌声は吸血鬼を惑わせる~クロウリー編②
「貴様らかァ!!」
墓地に、絶叫が轟いた。
「よくもエリアーデを泣かせたなァァッ!!」
顔を上げると、古びた尖塔の上から黒い影が飛び降りてくるところだった。轟音とともに石畳が砕け、土煙の向こうから血走った紅い目がこちらを睨む。
アレイスター・クロウリー。
尖塔の影には、もう一つ人影があった。紫の衣装の、あの女の人だ。
――エリアーデ。
それがあの人の名前なのだと、遅れて気付く。
彼女は牙を剥くクロウリーを見下ろして、静かに微笑んでいた。
「エクソシストめ!! 一匹残らず倒してやる!!」
「待ってください!」
アレンが前へ出た。左腕を構えながらも攻撃はしない。
「僕達は、貴方を殺しに来たんじゃありません! 貴方が倒していたのは、人間じゃない。AKUMAです!」
「黙れェ!! エリアーデは言っていた!! エクソシストと名乗る化け物共が、自分を殺しに来ると!!」
地面が爆ぜた。一瞬で、クロウリーがアレンの懐へ飛び込む。
「満!!」
横薙ぎの鉄槌が、クロウリーを吹き飛ばした。空中で身を捻ったクロウリーが、その勢いのままラビへ牙を向ける。紙一重で躱したラビの団服の胸元が、裂けた。