第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
――その頃。クロウリー城、深部。
「うおぇぇぇぇぇ……!! 苦い……!! に、苦過ぎるぅぅ……!!」
えずきながら転がり込んできたクロウリーを、薄暗い広間の奥で、一人の女性が静かに迎えた。艶やかな金髪に、妖艶な微笑み。
「お帰りなさいませ、アレイスター様」
「エ、エリアーデぇ……わ、私は……また……吸血鬼になってしまったである……!!」
床に横たえられた村人は、もうぴくりとも動かない。エリアーデは、それを一瞥しただけだった。
「死体はまた、あそこへ埋葬しておきましょう」
あっさりした声だった。
崩れ落ちたクロウリーの頬に、エリアーデがそっと触れる。
「ずっと二人で、この城で暮らしましょう? 外界の者達のことなんて、もうどうでもいいじゃありませんか……」
優しい声に、赤い瞳が揺れた。
薄暗い古城の中、カラスの鳴き声だけが、遠く響いていた。