第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
「リ、リナリー。まだ本当に吸血鬼かどうかは――」
『とにかく気を付けて!!』
堪え切れずに、ラビが吹き出した。
『ラビ笑わない!!』
「いやだってさぁ」
『もしティファが吸血鬼になったらどうするの!?』
ラビの顔から、笑みが消えた。
「それは嫌」
アレンが、じとっとした目を向けた。
「ラビ、今の反応早過ぎません?」
「……うるせぇ」
ラビが、気まずそうに目を逸らす。
妙に居心地が悪くなって、私は小さく咳払いした。
『と、とにかく!! 気を付けてね!!』
通信が切れて、森が静けさを取り戻す。
「……でも、ティファに噛まれんのは、それはそれでアリかもな」
ラビが、ぼそっと呟いた。
「ラビ」
「冗談さ、冗談」
ラビは笑って、さっさと先へ歩き出した。
……冗談に聞こえないから、困るのに。
森の奥に、巨大な城門が姿を現した。黒い鉄門には、大男の顔を模した悪趣味な装飾が絡み付いている。
ギィィ……
風もないのに、門が軋んだ。
カァァァ――ッ!!
頭上で、大量のカラスが一斉に鳴き叫ぶ。
「うわっ!?」
アレンの肩が跳ね、ラビもびくっと身を竦めた。
「二人とも、怖いの?」
「怖くありません!」
「別に? 全然?」
否定するわりに、二人とも微妙に私の傍から離れない。
「……ま、ティファが怖ぇなら、オレにしがみついててもいいさ? ほれ」
両腕を広げてみせたラビの後頭部に、ごん、と鈍い音が落ちた。
「いってぇ!! 何すんさアレン!!」
「真面目にやってください」
アレンは、何事もなかったように左手を下ろした。