第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
村人達の顔から、血の気が引いていく。
「許せねぇ……!」
「このままじゃ村が滅ぶ!」
「クロウリーを討たねば!!」
恐怖と怒りの入り混じった声が次々と重なった。その中で村長が深々と頭を下げる。
「我々は今夜、決死の覚悟で討伐へ向かうつもりでした。ですが、主は我々を見捨てにはならなかった! 黒の修道士様!! どうかクロウリーを退治してくださいまし!!」
ラビが、困ったように後頭部を掻いた。
「いやぁ……オレら、AKUMA退治専門なんだけど」
「なんと!! 悪魔まで退治できるのですか!!」
「いや、その悪魔じゃねーんだけど……」
遠い目をするラビの隣で、アレンが真剣な顔で尋ねた。
「……一応確認ですが、その旅人ってどんな人でしたか?」
「似顔絵があります」
村長が懐から一枚の紙を取り出して、広げる。
顎髭。煙草。胡散臭い笑み。そして、十字架。
「…………」
「…………」
「……似顔絵まで胡散臭ぇって、すげぇな」
「間違いありませんね……」
それから、アレンがふとこちらを振り向いた。
「僕の目が使えない分、ティファに頼ることになりますけど……無理は、しないでくださいね」
「任せて。その代わり、アレンも無茶しないでね」
「……はい」
「オレには?」
「ラビもよ」
「……ついでかよ」
「お、お三方……?」
恐る恐る掛けられた声に、はっと我に返る。村人達が、揃ってぽかんとこちらを見ていた。
アレンが咳払いをして、真面目な顔に戻る。
「……すみません。クロウリー城の件、僕達が引き受けます」
村長の顔がくしゃりと歪んだ。安堵なのか泣き出す寸前なのか、分からない顔だった。