第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
縄をほどかれたアレンが、村長へ向き直った。
「それで、話してもらえますか」
村長ゲオルグは、震える手で杖を握り締める。
「……実は、クロウリーが暴れ出す少し前、この村へある旅人が訪れたのです。自らを“神父”と名乗っておりました」
ラビが、露骨に嫌そうな顔をした。
「あー……」
私も、頭が痛くなってくる。アレンは、静かに目を閉じた。
「その旅人は、クロウリー城への道を聞いてきたのです。我々は必死に止めました。死ぬかもしれぬ、と……。ですが旅人は、“そりゃ面白ぇ”と笑って、平然と城へ向かってしまった」
「「「……絶対クロス元帥」」」
三人の声が、綺麗に重なった。
額を押さえるラビの横で、アレンが深く溜め息を吐く。
「どうしてあの人、行く先々で厄介事を拾ってくるんですか……」
「師匠だから」
「……返す言葉もありません」
「元帥の被害者、そのうち会でも作れそうだな」
「会長はアレンね」
「そんな会、入りたくないです……」
こほん、と村長が咳払いをした。
「我々も、旅人はもう殺されたと思っておりました。ですが――三日後、旅人は戻ってきたのです」
アレンの表情が、険しくなる。
「旅人はこう言いました。“もし古城の主に何か異変があったら、私と同じ十字架の服を着た者達に知らせろ。そいつらが事を解決してくれる”と……」
師匠が、わざわざ私達を呼ぶような真似をした。
――これはただの怪奇騒ぎじゃない。
「……それから暫くして、クロウリーは村人を襲うようになったのです。今日までで、既に九人が餌食に……」