第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
十分経っても、二十分経っても、アレンは戻ってこなかった。
ラビの顔から、笑みが消える。
「……遅ぇな」
「見に行きましょうか」
売店に、アレンの姿はなかった。店番の老人に尋ねると、妙に怯えた顔で村の奥を指差される。
霧の中を進むと、村の中央に古びた集会所が見えてきた。
「黒の修道士様ァァァ!!」
突然、集会所の扉が勢いよく開いた。中から、大勢の村人達が飛び出してくる。
「まだ二人いたぞ!!」
「連れてこい!!」
「吸血鬼退治してくだされぇ!!」
「えっ」
反応するより先に、ぐいっと腕を引かれた。ラビが、私を自分の背中へ庇う。
「ティファ、下がってろ」
鋭く細められた片目は、戦う前のそれだった。庇われた背中の後ろで、なぜか、胸のざわつきが静まっていく。
集会所の中を覗いたラビが、そこで吹き出した。
「っ、はは……!」
「……え?」
「ティファ!! ラビ!! 助けてください!!」
椅子に縄でぐるぐる巻きにされたアレンが、半泣きで叫んでいた。
「何してんさ、お前」
腹を抱えて笑うラビに、アレンが叫び返す。
「お弁当を買おうとしたら、突然袋を被せられて連れて来られたんです!!」
「……結局、お弁当は買えなかったのね」
思わず額を押さえた。