第17章 【第十六話】吸血鬼退治と三人の距離~クロウリー編①
ホームへ降りると、湿った夜気が頬を撫でた。駅は驚くほど静かで、人影もまばらだった。
「……なんか、思ったより寂れてるさ」
「あ、お弁当売ってます」
霧の中に、小さな売店の明かりがぽつんと灯っている。
「何か買ってきますね。ティファも食べます?」
「ありがとう。じゃあ、お願い」
「オレ、肉入ってるやつ」
「ラビは自分で買ってください」
「えー」
二人のやりとりに、また笑ってしまう。
売店の方へ歩きかけたアレンが、ふと振り返った。
「霧が濃いですから、そこの灯りの下で待っててください。すぐ戻ります」
その背中を見送っていると、隣でラビがぼそっと言った。
「ほんと、ティファには甘ぇよなー、アイツ」
「え?」
きょとんとする私を見て、ラビは小さく笑う。
「……ま、オレもだけど」
ぽん、と、頭に軽く手が乗った。
不意打ちに、胸がどくりと鳴る。ラビの方は、何でもない顔で、もう駅の外へ目を向けていた。
……やっぱり、ずるい。