第15章 【第十四話】言いかけた熱
「……隣のベッドに、アレンがいたんさ」
「アレンが?」
「目の検査だと。……普通に『お大事に』って言われてさ。勝手に勘違いしてた身としちゃ、居たたまれねぇだろ」
「だからって、治療を抜け出さないで。……私は、あなたが心配なのよ」
包帯へ、そっと触れる。
熱い。
まだ、炎を使った時の熱が残っているみたいだった。
「……どうして、そこまで」
ぽつりと零れた。
「私の怪我のことばっかり気にして。自分の方が、ずっと酷いのに」
そこまで言って、言葉に詰まった。
――私のことばっかり。
自分で口にした言葉が、妙に胸に引っ掛かる。
「……気にすんだろ」
ラビは視線を逸らしたまま、小さく息を吐いた。
「目の前で、好きな奴が傷ついてんの見たら」
鼓動が、跳ねた。
時間が止まった気がした。目を見開いたまま、ラビを見る。
ラビ自身も、言ってから気付いたらしい。ぴたりと動きが止まる。
それから、深く顔を覆った。
「……っ、やべ」
その意味を理解しかけて、喉が詰まった。
「……ラビ、それって」
薄暗い回廊に、遠くの機械音だけが響いている。
顔を覆っていた手が、ゆっくりと下りた。
翠の瞳が、真っ直ぐこちらを見る。