第13章 【第十二話】記録に残らない熱
「……じゃあ、あの子は何だ」
ラビの声が、さらに低くなった。
「あの子も、この場所を作るのに使ったのか」
AKUMAは、喉の奥で濁った笑い声を転がした。
「使った、か」
歪んだ顔が、愉しげに歪む。
「その小さな生者は、この場所を作るための材料ではない」
AKUMAは続けた。
「後から放り込んだのだよ」
「……後から放り込んだ、だと?」
「そうだ。この箱が形を成したあと、その娘をここへ呼び寄せるためにな」
AKUMAの声が、粘つくように低くなる。
「終われぬ死者どもの中へ、生きた子供を一人放り込めばどうなるか。助けを求め、泣き、縋り、やがて存在を削られていく」
歪んだ口元が、愉しげに吊り上がった。
「その娘なら、この歪みを感じ取り、必ずここへ辿り着く。そして、その子を見れば、歌わずにはいられぬ」
喉の奥が、凍り付いた。
この子は、偶然ここへ迷い込んだのではない。
私を、ここへ引き込むために――。
歌が、震えた。
音を、途切れさせるわけにはいかない。
それなのに、指先が冷えていった。