• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第13章 【第十二話】記録に残らない熱



「……じゃあ、あの子は何だ」

ラビの声が、さらに低くなった。

「あの子も、この場所を作るのに使ったのか」


AKUMAは、喉の奥で濁った笑い声を転がした。


「使った、か」

歪んだ顔が、愉しげに歪む。

「その小さな生者は、この場所を作るための材料ではない」

AKUMAは続けた。

「後から放り込んだのだよ」


「……後から放り込んだ、だと?」

「そうだ。この箱が形を成したあと、その娘をここへ呼び寄せるためにな」


AKUMAの声が、粘つくように低くなる。

「終われぬ死者どもの中へ、生きた子供を一人放り込めばどうなるか。助けを求め、泣き、縋り、やがて存在を削られていく」


歪んだ口元が、愉しげに吊り上がった。

「その娘なら、この歪みを感じ取り、必ずここへ辿り着く。そして、その子を見れば、歌わずにはいられぬ」



喉の奥が、凍り付いた。

この子は、偶然ここへ迷い込んだのではない。


私を、ここへ引き込むために――。


歌が、震えた。

音を、途切れさせるわけにはいかない。
それなのに、指先が冷えていった。

/ 1033ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp