第15章 【第十四話】言いかけた熱
Side:ラビ
書庫の一番奥、誰も来ない窓際の棚の陰で、オレはずるずると床へ座り込んだ。
「……嫌い、ね」
アレンの入れ知恵だって分かってる。なのに、そこだけが耳に残った。
……けど、間違っちゃいねぇんだよな。
誰にでもへらへら笑って、どこにも深入りしねぇ。ブックマンの跡継ぎなら、それで正しい。
――なのに、あいつにだけは、それが出来ねぇ。
目を閉じると、さっきの顔が浮かぶ。本棚とオレの間に挟まれて、見上げてきたティファの顔。
真っ赤だった。
嫌いだって言ったくせに。
……なんだよ、あの顔。
手を離しても、あいつは本棚に背中をつけたまま動かなかった。
一番たちが悪ぃのは、それを見て、喜んじまったオレの方だ。
……あと一秒、手ぇ離すのが遅かったら。
「……考えんな、バカ」
包帯の右手を見下ろす。棚に押しつけたとこから、赤が滲んでた。
……あいつの髪乾かしてんのは、アレンなんだよな。
「……さっさと治せって話だよな」
立ち上がって、書庫を出る。足は、勝手に医務室へ向いてた。