第15章 【第十四話】言いかけた熱
「……毎晩、二十一時に何してんさ」
低い声が、すぐ上から落ちてきた。
……二十一時?
「アレンと。お世話って、何の」
……な、んで。
どうして、ラビがそんなこと――
聞き返そうと顔を上げると、ラビは笑わずに私を見ていた。
思っていたよりずっと近くて、頭の中が真っ白になる。
な、何か言わなきゃ……っ。
「チャラ男は嫌いよ!」
ラビが、固まった。
「…………チャラ男?」
その声に、言ってしまった言葉をようやく意識した。
翠の瞳から、すっと温度が引いた。
「……オレが、誰にでもこうしてると思ってんの」
言葉が、出なかった。
「してねぇよ。……こんなこと」
ふいと視線が逸れる。
それから、何かに引っ掛かったように、ラビの眉が寄った。
「……つーか。お前、チャラ男なんて言葉、どこで覚えたんさ」
「そ、それは……」
「アレンだろ」
「えっ……? な、なんで分かるの」
「お前が自分で、そんなん言うかよ」
棚板についたラビの手に、力がこもる。
「人のことチャラ男とか言うけどさ。お前らだって、どうなんさ」
「どうって……?」
「毎晩お世話されてて、夜は、お前の髪の毛付けたアレンが部屋から出てきて――」
一息に言ってから、ラビははっと口を噤んだ。