第15章 【第十四話】言いかけた熱
Side:ラビ
その夜。
資料室からの帰り、廊下の角で足が止まった。
ティファの部屋の扉が開いて、アレンが出てくるとこだった。
「おやすみなさい、ティファ。また明日」
扉を閉めたアレンが、ふと肩へ手を伸ばした。つまみ取った髪が、廊下の灯りを受けて銀色に光る。
あいつ自身の髪にしちゃ、長すぎた。
……ティファの、だよな。
アレンはそのまま廊下の向こうへ歩いてった。
角のこっちにいるオレには、気付いてねぇらしい。
昼間の「お世話」と、ティファの髪の毛。
……繋げんな、オレ。
「……いや、ねぇだろ」
誰もいねぇ廊下で、一人で首を振った。
……ねぇよな。あいつ怪我人だし、相手はアレンだし。
――でも、アレンのやつ。ティファ見る時だけ、顔が違ぇんだよな。
がしがしと前髪を掻き上げようとして、右手が引き攣れた。焼けた皮膚が擦れる。
「……っ、いって」
おかげで、ちっとは頭が冷えた。
冷えたところで、何ひとつ分かんねぇままだけど。