第15章 【第十四話】言いかけた熱
Side:ラビ
数日後。
食堂の入口で、足が止まった。
窓際の席に、ティファとアレンが向かい合って座っている。三角巾の右腕を庇いながら、左手だけでパンを千切るティファに、アレンが何か話しかけていた。
声を掛けようとして、手を上げかけた時だった。
「ティファ。今日も、二十一時頃でいいですか?」
「ええ。いつもありがとう、アレン」
「いえ。僕が好きでやってるので」
上げかけた手が、宙で止まった。
……二十一時。
何の、とは聞こえなかった。
ティファは当たり前みたいに頷いて、アレンも当たり前みたいに笑っている。もう何度も繰り返してきた約束みたいに。
脇に抱えていた本が、急に重くなった気がした。
包帯の巻かれた右手を、ゆっくり下ろす。
「……何の時間さ、それ」
誰にも聞こえねぇ声で呟いて、オレは踵を返した。