第14章 【第十三話】夜明けまで、この手を
その言葉に、胸の奥が鈍く痛む。
私が捕まりさえしなければ、ラビはあそこまで炎を使わずに済んだのに……。
それが顔に出たのか、ラビがはっとしたようにこちらを向いた。
「……いや、違ぇって。お前が悪いって意味じゃなくて」
言い繕うように頭を掻こうとして、薬液の染みた腕に顔を顰める。
「っ……ああもう、そういうんじゃねぇの」
分かってる、と返そうとしたのに、張り詰めていたものが一緒に緩んで、視界が滲んだ。ラビが、ぎょっとしたように固まる。
「お、おい……今度は何さ」
傍で包帯を整えていた看護師が、くすりと笑った。
「そういう時は、『オレが全部悪かった』って、優しく抱きしめるのよ」
「で、できるかっ……!」
ラビの声が裏返る。
抱きしめる、という言葉が遅れて耳に届いて、頬が熱くなった。
私は慌てて、左手で目元を拭う。
ラビはぷいと顔を背け、黙って腕を医師に預けた。その耳の先が、うっすらと赤い。
新しい包帯が巻き終わる頃、処置室の扉が控えめに叩かれた。
「保護された少年の件ですが」
私は反射的に顔を上げた。ラビの視線も、すぐにそちらへ向く。
医師は少し言葉を選ぶように黙り込み、それから静かに続けた。
「命に別状はありません。衰弱はしていますが、呼吸も脈拍も安定しています」
張り付いていた緊張が、ほんの少しだけほどけた。
……良かった。