第13章 【第十二話】記録に残らない熱
「あなたが背負っているものの重さは……きっと、私には全部は分からない」
握られた指を、離さなかった。
「でも、私を助けようとしてくれたことを、間違いだったみたいに言わないで……っ」
私の手の中で、ラビの指が止まった。
「……嬉しかったの。笑顔の奥にいるあなたに、やっと触れられた気がして……」
握られていた指が、ゆっくりと絡み直された。
「……ずりぃよ」
「え……?」
「そんなこと言われたら……余計、捨てられなくなんだろ」
――何を……?
意味を尋ねようとして、言葉を飲み込んだ。
彼の手が私の指を離さないことだけが、静かに残った。
「ティファさん! この子、息はあります……でも、呼んでも返事がなくて……!」
少し離れた場所から、トーマスの上擦った声が響いた。
はっとして、広場の中央へ視線を向ける。
砕けた石畳の上に、少年が倒れていた。薄い身体に、雨に濡れた髪。輪郭は保たれているのに、ひどく頼りなく見えた。
「……っ!」
反射的に立ち上がろうとして、右腕へ走った激痛に息を詰めた。
足元が揺れる。ラビの腕が、咄嗟に私の身体を受け止めた。
「無茶すんな」
まだ火判の熱が残る腕が、そっと私を支え直す。