第13章 【第十二話】記録に残らない熱
「……ティファ」
「何?」
「何か感じたら、すぐ言えよ」
こちらを見ないままの言葉だった。
「前みてぇに、自分だけで抱え込むな」
「……ええ。分かっているわ」
答えると、ラビは小さく息を吐いた。
「ならいい」
それきり、話は続かなかった。
雪原が途切れ、湿った土色の荒野へ変わっていく。地面を覆っていた白は薄くなり、代わりに灰色の霧が低く這い始めていた。
汽車が長い汽笛を鳴らし、速度を落とす。
霧の中に、古びた駅舎がぼんやりと浮かび上がった。
そのさらに奥。灰色の空を背にして、巨大な観覧車の輪郭が見えた。
止まっているようで、ほんの僅かに動いている。
ぎぃ……。
窓硝子越しに、不快な金属音が聞こえた気がした。
「……着いたみてぇだな」
ラビが、ぽつりと呟いた。