第13章 【第十二話】記録に残らない熱
正門の方から、コムイさんとリーバー班長が姿を現す。
「揃っているね」
コムイさんは私たちの顔を順に確かめると、封筒を差し出した。
「中には現地の見取り図、先行班の最後の通信記録、それから外周の待機地点と退路が書かれている。何かあった時は、調査より帰還を優先しろ」
リーバー班長の言葉に、私は頷いた。
「ティファちゃん。何かを強く感じ取った場合でも、すぐに一人で動かないこと。必ずラビと状況を確認してから行動するんだ」
「はい」
「ラビも。異常の記録は必要だけど、優先すべきは三人全員で戻ることだ」
ラビは、短く息を吐いた。それから、いつものように笑ってみせる。
「分かってるさ。ちゃんと全員連れて帰ってくる」
思わずラビの横顔を見る。
全員、と言った彼の目は、霧に霞む道の先だけを見据えていた。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい。気を付けて」
本部の鐘が、六時を告げた。
ラビが先に歩き出す。私は一度だけ教団本部の石門を振り返り、それから、トーマスと共に彼の後を追った。
ラビのすぐ隣ではなく、半歩だけ後ろを。
今は、それ以上近付く理由を見つけられなかった。