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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第2章 【第一話】雪に残る歌



「甘ぇな」

師匠の声が、背後から落ちる。

「お前が迷ってる間にも、そいつは人を殺す」


AKUMAが腕を引き抜き、再びこちらへ向き直る。


『たすけて……』

少女の声が、また聞こえた。

私は唇を噛む。


怖い。
歌いたくない。

壊したくない。


けれど、このまま放っておけば、この少女は苦しみ続ける。


あの日、母を殺したAKUMAの中にも、誰かが囚われていた。

私は何も知らないまま、その苦しみを終わらせた。

けれど、今は違う。


今は、この声を聞いてしまった。

私は震える手を胸元へ添えた。


「ごめんね……」

小さく呟く。


少女へ向けた言葉だった。

救うために、壊さなければならない。
そのことが、ただ苦しかった。

それでも。


私は息を吸った。

少女の声へ意識を向ける。


痛い。
怖い。

帰りたい。

そこにいるのだと、忘れない。


歌が零れる。

最初は、震えるほど小さな旋律だった。

柔らかな歌。

そのまま、喉の奥に宿るもう一つの熱へ意識を繋ぐ。


――ニルヴァーナ。


次の瞬間。
白銀の光が、喉元から溢れ出した。


歌へ、鋭い力が重なる。

声は、はっきりと形を持った。


雪原へ響く、祈りの歌。


けれど。
AKUMAへ向かう光は、祈りではない。


鋭く。
眩しく。

白い刃となって、その身体を貫いた。


「ァアアアアアアッ!」

AKUMAが絶叫する。

同時に、少女の悲鳴が胸へ流れ込んでくる。


苦しい。
怖い。

帰りたい。


今度は知っている。

この声が何なのか。

自分が何を壊し。
誰の苦しみを終わらせようとしているのか。
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