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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第12章 【第十一話】触れてはいけない距離



「アレンこそ、左腕と目は大丈夫? 無理を、してたでしょ?」

「僕は……」

アレンは一度言葉を止め、それから少し困ったように笑った。


「ティファに会えたから、少し元気になりました」

「またそうやって、話を逸らすんだから」


「でも、本当です」

小さな声で、アレンは続けた。

「ティファの隣にいると、落ち着くんだ。昔から」

そう言って、アレンはほんの少しだけ私との距離を縮めた。触れた肩の温かさは、昔のままだった。



少し前を歩いていたラビの足音が、ふいに止まった。こちらへ背を向けたまま、彼は振り返らない。

「……お熱いこって」

ぽつりと、それだけが落ちた。


「ラビ」

思わず呼び止めた。

「あなたも、少し休んだ方が――」

「オレより、そっちの怪我人みてやんなよ」

ラビは振り返らないまま、軽く笑った。


「……ティファの隣にいると、随分元気になれるみてぇだしさ」


その言葉の端が、小さな棘のように刺さった。


「……ラビ、それは」

何を言おうとしたのか、自分でも分からない。


病室で私を引き寄せた手は、確かに震えていたのに。

どうして。

その問いは喉の奥で止まったまま、言葉にならなかった。



私が黙っていると、ラビは片手を上げた。

「……ま、オレは先行くさ」

軽い足取りで、彼はそのまま歩き出す。その背中は、どこか硬かった。


アレンが、隣で僅かに息を止めた気配がする。

「……ティファ?」

「大丈夫よ」

咄嗟に、そう答えていた。


冷えた石床の上で、ラビの影だけが先に離れていった。

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