• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第9章 【第八話】記録者の選択



「ラビ……」

声をかけようとして。
足が止まった。

彼の横顔が、あまりに遠かったから。


昼間。
私が言葉を向けた時と同じ。

何かを抱え込んで。

けれど、それをどう扱えばいいのか分からないような顔。


――今、声をかけても。

きっと彼は、いつものように笑って誤魔化す。
そんな気がした。


私は伸ばしかけた足を引いた。
そっと踵を返し、来た道を戻る。


廊下の灯りが、彼の影を長く引き伸ばしている。

赤い髪が視界から消えたあとも。
胸の奥には、昼間の棘がまだ刺さったまま残っていた。

私は、そのまま部屋へ戻った。
問いかけたい言葉は、いくつもあった。

けれど、そのどれも、今夜のうちに口にできる気はしなかった。
/ 1033ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp