第11章 【第十話】巻き戻らない時間
「させない!」
刃を交差させ、弾丸を切り払う。弾き切れなかった破片が、肩口を掠めた。
団服の布が裂け、熱い痛みが走る。
「ティファ!」
「平気よ!」
答えながら、私は歯を食い縛った。
喉の奥が焼けるように痛むけど、今ここで崩れるわけには、いかなかった。
じりじりと、包囲が狭まっていく。出口はAKUMAに塞がれ、砕けた壁の向こうにも新たな影が揺れている。
反対側の壁の向こうから、何かが凄まじい勢いで近付いてくる音がした。
ごう、と空気が震える。
病室の壁が、再び轟音と共に粉砕された。
「どっけええええ!! スピード落とせねぇさ! 止まんねぇぇぇええ!!」
「うわぁああああ!? ラビ! だからもっと慎重にって言ったじゃないですか!!」
爆風と瓦礫を突き破り、巨大化した鉄槌が一直線に室内へ突っ込んできた。
その柄へしがみ付いているのは、赤い髪を激しくなびかせたラビ。その後ろで、アレンが必死に振り落とされまいとしている。
「ラビ!? アレン!?」
叫んだ直後、制御を失った鉄槌が、病室へ群がっていたAKUMAたちをまとめて薙ぎ払った。
黒い身体が次々と吹き飛ばされ、壁へ、床へ、天井近くへと叩き付けられる。砕けた器から、解放された魂の光がいくつも昇った。
甲高い断末魔が重なり、粉塵の向こうで、忌まわしい駆動音が途絶える。