• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第10章 【第九話】空白の再会



「……そっか」
 
ラビは、笑ったままそれだけ返した。
 

急に静かになった病室に戸惑いながら、私は立ち上がろうとした。
 
「アレン、何か飲めるものを――」
 
椅子から腰を浮かせた途端、視界の端が白く滲んだ。
 
足元が揺れる。喉の奥へ残っていた鈍い熱が、急に重さを増した。
 
「……っ」
 

「ティファ」
 
気付いた時には、ラビがすぐ隣まで来ていた。
 
伸びてきた手が、私の肩を支える。傾きかけた身体が、ごく自然に彼の方へ引き寄せられた。

 
「……ラビ」
 
「ほら、やっぱ無茶してんじゃん」
 
ラビは、いつも通り呆れたように笑っていた。
肩へ置かれた指先には、思った以上に力が入っていた。

 
「看病熱心なのはいいけど、お前が倒れたら意味ねぇだろ?」
 
「大丈夫。少し、立ち眩みがしただけ」
「立ち眩みは、大丈夫のうちに入んねぇよ」

ラビに促され、私は椅子へ座り直した。足元が落ち着いても、肩を支える手はすぐには離れなかった。

 
「……ティファ、顔が真っ青です」
 
アレンの視線が、私の顔から、肩を支えるラビの手へ移った。
 

そこへ、廊下から慌ただしい足音が近付いてきた。

 
「アレンくん、失礼するよ」
 
扉が開き、コムイさんが入ってきた。

 
夜を徹して移動してきたのだろう、眼鏡の奥には疲労が滲んでいる。

その表情に普段の茶目っ気はなく、手には医療器具の収められた小さなケースと、数枚の記録用紙が抱えられていた。


/ 382ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp