第10章 【第九話】空白の再会
……ようやく。ようやく、会えた。
けど、どうしてこんな姿で。
そう思った時には、もう足が彼の傍へ向かっていた。
私は寝台の横に置かれた椅子へそっと腰を下ろし、眠っている顔を見つめたまま、膝の上で指を握り締めた。
呼び掛けていいのか、迷った。今は、眠らせておくべきだと分かっている。
それでも。
「……アレン」
名を呼ぶ声が、思ったよりも小さく震えた。
アレンの長い睫毛が、微かに揺れた。
浅い呼吸が途切れ、瞼がゆっくりと持ち上がる。焦点の合わない瞳が天井を彷徨い、惑うように、こちらへ動いた。
「……ティファ……?」
目が合った途端、アレンの表情が大きく揺らいだ。
「……っ、ティファ……!」
上体を起こそうとして、彼の身体が苦しげに沈む。
「アレン、駄目。まだ起きては――」
止めるより先に、アレンの右手が伸びた。震える指先が、私の手を探す。
私は咄嗟に、その手を握った。
熱い。
弱々しいはずなのに、指先には驚くほど強い力が込められていた。
「夢じゃ……ない……」
アレンの声が、掠れて途切れる。
「本当に、ティファがいる……」
「ええ。ここにいるわ」
握り返した私の手首へ、彼の指先が滑った。そこに通された小さな銀色のボタンに触れて、止まる。
「……まだ、持っててくれたんですね」
「なくさないで、って言ってたでしょ?」
アレンの唇が、微かに綻んだ。
「僕……ずっと……」
言いかけて、アレンは一度、浅く息を吸った。
その唇が、僅かに震える。
「教団に来れば、すぐ会えると思ってたんです。なのに、いつも入れ違いで……」