第8章 【第七話】肩を並べる約束
それからの日々。
オレはいつもより少しだけ、余計にティファを見ていた。
食堂では、よく科学班の連中に囲まれている。
コムイの暴走にリーバーがキレて、ジョニーやタップら科学班が困り果て、リナリーが呆れた顔で溜息をつく。
その真ん中で、ティファは少しだけ困ったように笑っている。
神田に睨まれても、顔色ひとつ変えない。
鍛錬場では、自分から相手を頼んで剣を交えていた。同じ剣士として、あいつの剣捌きに興味があるのかもしれねぇ。
食事の時は、ジェリーの料理をゆっくり味わう。
リナリーや知り合ったエクソシスト、科学班の連中と話しながら食べている時もあれば、一人で静かに皿へ向かっている時もある。
どこにでもある、教団の日常。
書き留めるほどの出来事なんて、何もない。
それなのに。
気付けばオレは、その光景の中からティファの姿ばかりを探していた。
記録するためではない。
何か異変がないか確かめるためでもない。
ただ、見ていた。
――マズいな。
そう思う。
思うのに。
目を逸らす気には、ならなかった。
*
出発を翌日に控えた夜。
書庫の奥で、じじいは一枚の報告書を捲っていた。
前回の任務。
あの村で起きた異変と、ティファの歌についての記録。
「今回も、同行するそうだな」
「コムイがそう決めたんさ。記録が要るってな」
オレは棚へ背を預けたまま、軽く答えた。
じじいは顔を上げない。
数頁だけ目を通したあと、報告書を静かに閉じた。