第8章 【第七話】肩を並べる約束
ラビが大槌を雪原へ打ちつけた。
「火判!」
浮かび上がった判から、炎が蛇のようにうねり上がる。吹雪ごと呑み込む炎に、宙のAKUMAたちが次々と焼き崩れていく。
炎の縁を掠めて、数体だけが高く逃れた。
「ティファ、乗れ!」
差し出された大槌の面へ、私は迷わず足を掛けた。振り上げられた槌に押し上げられ、身体が宙へ跳ぶ。
息を吸う。喉を震わせた歌が、凍てついた空気を貫いた。
その旋律に乗せて、二振りの刃を振るう。逃げ場を失ったAKUMAの核へ、白銀の光が次々と届いていく。
黒い身体が弾け、幾つもの光の粒へ変わっていった。
――囚われていた魂。
雪の上へ降り立つと、ラビがすぐ隣へ駆け寄ってきた。
私は荒い息を吐き、レイピアを下ろした。光の刃が、細かな粒となって風へ溶けていく。
「……終わった……のね」
「みたいだな」
隣で、ラビが大槌を縮める。
その肩には、先ほど受けた傷からまだ血が滲んでいた。
私はすぐに彼へ向き直った。
「ラビ、傷を見せて」
「これくらい平気さ」
「いいから」
彼の肩へ手を伸ばしても、ラビは避けなかった。破れた団服の向こうに、赤く滲んだ傷が見える。