第8章 【第七話】肩を並べる約束
side:ティファ
任務へ向かう汽車の窓の外では、景色が少しずつ白へ変わっていった。遠くに見えていた木々の枝へ雪が積もり、やがて地面も空も、境目が分からなくなるほど淡く霞んでいく。
コンパートメントの中には、車輪が刻む一定の音だけが響いていた。
向かいの席には、現地のファインダーであるミヒャエルから届けられた資料が置かれている。
私は窓際へ座り、流れていく雪景色を見つめていた。
隣には、席は別々だと言ったはずのラビが、当然のような顔で座っている。
「なぁ、ティファ」
「何?」
「……今度は、無理になる前に言えよ」
私は僅かに目を瞬いた。
「喉のこと?」
「それも。身体のことも」
ラビは窓の外を見たまま続けた。
「休むっつって、その日の夜に書庫いる奴の“大丈夫”は、あんま信用できねぇからな」
私は言葉に詰まった。
「……あれは、眠れなかっただけよ」
「はいはい」
それきり黙ってしまった横顔に、私は少しだけ眉を寄せる。
「ラビ」
「ん?」
「怒ってるの?」
「――怒ってねぇ」
言い終わるより先に、返事が来た。
「じゃあ、何?」