第6章 【第五話】存在を繋ぐ歌
胸の奥へ、冷たいものが沈んでいく。
何のために。
誰を、そこまでして残したかったのか。
黒く焼けた村を見つめていると、胸の奥へ冷たい予感が沈んでいった。
「……記録は、わしが持ち帰る」
ブックマンが告げる。
「この事件を偶発的な異変として終わらせてはならん」
「何者かが、死者の魂を留める方法を試しておる」
「試して……」
「完成しておらぬ」
ラビの表情が。
僅かに険しくなる。
「じゃあ」
低い声だった。
「また、こんな村が出るかもしれねぇってことか」
ブックマンは答えなかった。
その沈黙だけで十分だった。
ラビの腕の中で。
アンナが眠ったまま小さく身じろぎをする。
その事実に、胸が締め付けられた。
私は手を握り締めた。
歌っても、救えなかった命がある。
苦しみから解放できた魂がある一方で、既に痕跡ごと失われていた人たちがいる。