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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第2章 【第一話】雪に残る歌


ある日の夕暮れ。

師匠と歩いていた街道の脇に、小さな鳥の亡骸が落ちていた。


泥に濡れた羽。
冷たくなった小さな身体。

それを見た瞬間、胸の奥がきゅっと痛んだ。


母の姿が重なったのかもしれない。

私は足を止め、そっと鳥の傍へしゃがみ込んだ。


「どうした」

少し先を歩いていた師匠が、面倒そうに振り返る。


「鳥が……」
「死んでるな」

淡々とした返事。
それで終わるはずだった。

けれど、私はその小さな亡骸から目を逸らせなかった。


その時。
胸の奥へ、ほんの僅かな気配が触れた。


「っ……」

声ではない。
言葉でもない。

けれど、確かにそこにある。

小さく、頼りなく、行き先を失った光のようなもの。


私は息を呑んだ。

喉の奥へ、淡い熱が宿る。


あの日ほど激しいものではない。
焼けるような痛みも、怒りも、恐怖もない。

ただ、冷たくなった小さな命が、ひどく寂しく見えた。


旋律が、自然に唇から零れる。


柔らかな歌だった。

あの日、母を包んだものとよく似た静かな旋律。


小さな亡骸から、ほんの僅かな光が浮かび上がる。


それは一度だけ私の指先の周りを舞い、夕暮れの空へ静かに消えていった。


私は息を呑んだ。

悲鳴はない。
苦しみもない。

ただ、何かが行くべき場所へ帰っていった。
そんな気がした。


それまで無関心を装っていた師匠が、初めて足を止めた。


ゆっくりこちらへ戻ってくる。

鋭い瞳が、私と鳥の亡骸を見比べた。

値踏みするような。
それでいて、何かを確かめるような視線だった。


「……やっぱりか」
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