• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第6章 【第五話】存在を繋ぐ歌



「……」

「離すことと、見捨てることは同じじゃねぇさ」

翠の瞳が、眠る少女へ向けられる。

「帰る場所へ送ってやったんだろ。あんたの歌で」


胸の奥で、張り詰めていたものが僅かに緩んだ。


「……ありがとう」

声を絞り出す。

ラビは軽く肩を竦めた。


「別に。オレは見たまま言ってるだけさ」

軽い言い方だった。


けれど、その声は、いつもよりずっと静かだった。

その時。


「まだ終わってはおらん」

ブックマンの低い声が落ちた。


彼は広場の中央へ歩み寄り、先ほど黒い霧の核があった場所へ膝をついている。

石畳には、焼け焦げた細い線が幾重にも残されていた。


まるで、巨大な縫い跡。
死者の魂を、この場所へ縫い留めるために刻まれた、異様な紋様。


「これは……」

私はふらつく身体を押さえながら、ブックマンの傍へ近付いた。


「イノセンスではないのですか?」
「違う」

ブックマンは即座に答えた。

その声が、ひどく低い。


「AKUMAの痕跡でもない。」

「では、何が……」

/ 1033ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp