第7章 【第六話】この世界に繋ぎ止めて
「……そう、ですか」
「AKUMAによる破壊でも、イノセンスの暴走でもない」
コムイさんは、焼けた紋様を再現した図へ視線を向けた。
「少なくとも、僕たちが把握している既存の現象には当てはまらない」
「……ブックマン様」
「何だ」
「昨日は、誰が術を使ったのか断定できないと仰いました」
ブックマンの瞳が、僅かに細められる。
私は膝の上で、そっと手を握り締めた。
「それでも……持ち帰った痕跡を調べた今は、何か分かったのですか?」
雨音だけが、部屋を満たした。
「……一つだけ。村で見た時点では断定できなんだが、持ち帰った紋様を調べて分かったことがある」
私は息を止めた。
「あの術は、お主の歌と同じものではない。だが、魂が還る流れを知る者でなければ、あれほど精密に逆転させることは難しい」
その視線が、ゆっくり私へ向く。
「お主の血に連なる者が関わっている可能性は、捨てきれぬ」
「……セトラが?」
自分の声が、ひどく遠く聞こえた。
ブックマンは答えず、紋様の線を一本、指でなぞった。
……私以外に、セトラの血を引く者がいるのだろうか。
それとも、誰かがその知識だけを受け継いだのか。