• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第6章 【第五話】存在を繋ぐ歌


その周囲には、白い影が幾重にも揺れている。

人の形を保ちきれない、薄い輪郭。

老いた者。
若い者。
小さな子供。

そのどれもが声にならない苦痛を纏い、教会と墓地を繋ぐように、黒い糸で地面へ縫い留められていた。


死者たち。

還ることを許されず、この地へ留め置かれた魂。


「……おかあ、さん……」

少女の声が、霧の中で儚く震えた。

その呼び声へ応えるように、白い影の一つが微かに揺れる。


女性の輪郭だった。

形は曖昧で、顔も分からない。

それでも、細い腕が少女へ伸ばされている。


触れられないまま。
抱き締めることもできないまま。

黒い糸に縛られ、ただ苦しげに震えている。

胸の奥を、鋭い痛みが貫いた。


あの人が、この少女の母親なのだ。

既に死んでいる。
天へ還ることも許されず、我が子の傍で苦しみ続けている。

私は駆け寄ろうとする。

けれど、足が途中で止まった。
/ 1033ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp