第52章 【第四十七話】欲しかった言葉
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木立の向こうが、赤く染まり始めていた。
神田へ木刀を返す。
「……ありがとう」
声は、少し掠れていた。
神田は木刀を受け取ると、何も言わずに素振りへ戻った。
帰り際、無意識に喉へ手が伸びかけた。
もう一度だけ確かめたい。
私はしばらく迷ってから、その手を下ろした。
力が戻ったわけではない。出ないことへの怖さも、消えてはいなかった。
今日はもう、ニルヴァーナを呼ばずに戻ろうと思った。
「……戻るわ」
神田は素振りを止めなかった。
「そうしろ」
返ってきたのは、それだけだった。
私は口元を緩め、来た道を戻った。